膝の痛みの原因

  膝の痛みの原因には、加齢による軟骨の現象やリウマチ、痛風などの病気、交通事故やスポーツなどでの過剰な負荷による外傷といったことがあります。

様々な原因があるわけですが、実は突き詰めていくと共通して見られることが多くある問題があります。それこそ、体の歪みや筋肉のこわばりです。

 

人間は、普段の生活やスポーツの中で、体をバランスよく使っているわけではありません。たとえば、体の左右だけで考えても、同じようには使っていないはずです。

それが続くことによって偏りが生まれ、特定の関節に負担を強いることになります。

 

年齢を重ねれば、それだけ特定の負担が重なっていきますし、軟骨が磨り減る、骨が弱くなる、筋肉量が減って関節の負担が少なくなるといった事情もありますので、膝の痛みが生じやすくなります。

また、スポーツが原因の場合にも、体のバランスが崩れていることによって、過剰な負担が生まれます。もちろん、フォームに問題がある場合や、柔軟性や適切な筋肉が不足しているといった背景がそれに加わっていることもあります。

 

このような体のゆがみが原因で膝の痛みが生じていても、病院では症状を緩和することはできても、根本となる原因から取り除くことは一般に行われていません。対症療法でしかないので、一度回復したように見えても再発してしまうのです。

 

膝の痛みの症状

歩く時や走る時

歩く時と走るときを比べると、走る時のほうが数倍の負荷がかかります。そのため、走る時だけ痛みが生じる場合には、歩く時も含めて症状が出る場合に比べて軽症であることが多いと言えます。

階段の上り下り

平地を歩いている場合に比べ、階段の上り下りの時には関節への負荷が大きくなります。そのため、階段を見るだけで嫌になってしまったり、階段を避けるため に行動範囲が限られてしまっていることもあります。旅行に出るようなことになれば、エスカレーターやエレベーターが設置されている場所ばかりではありませ んので、階段の上り下りを余儀なくされてしまう場面もあるためです。

立ち上がるとき

座っている姿勢から立ち上がるときや、反対に座る時に痛みを感じる人は多くいます。こうした動作は力が関節に加わるだけではなく、大きく曲げなくてはならないことも関係しています。

正座

椅子に座る場合に比べ、正座はしっかり膝を曲げる必要があり、痛みを感じることが多くなっています。正座をする時だけではなく、立ち上がるときや、体重をかけたとき、あるいは長時間継続することで症状が現れることもあります。

関節が固まって曲がらなくなってくると正座をするのが難しくなっていきます。

じっとしている時の痛み

動いている時の痛みは可動時痛と呼ばれています。激しいスポーツの時に症状が現れるような場合だけではなく、安静にしている時にも症状があるケースがあります。たとえば、慢性リウマチが原因になっている場合にはこのような傾向があります。

膝を伸ばせない

本来はまっすぐ伸ばしたときに関節がかみ合い、少ない力でも立った状態を維持することができます。しかし、伸ばすことができない時には少し曲げたままにし ておく必要があるため、それによって大きな負担がかかってしまいます。これにより、さらに悪化してしまうという悪循環に陥ることになるのです。

膝が曲がる

変形性膝関節症が進行していくと、骨が変形していきます。そのため、O脚やX脚になっていくことがあります。

膝の腫れや水

痛みとは別の症状として、腫れや水が溜まるといったことがあります。そのため、曲げづらくなってくることもあります。

階段を上りづらい

脚が重く感じられるために、階段を上るのが大変に感じることがあります。痛みによるもの以外にも、筋力の低下が原因になっていることがあります。筋 肉は使わないと衰えていくため、症状が出てから関節をかばうためにあまり運動をしたり歩いたりしないようにしていると、このようなことが起こります。

階段を上る時には、日常の中でも比較的筋力が必要になるため、筋肉が落ちた状態では脚が重くなったように思うことがあるのです。膝に負担をかけることに不安を感じると、どうしても動く機会が少なくなりがちですので、筋肉がやせていくことにつながりがちなのです。

 

膝の痛み・関節痛はなぜ起こる?

 関節のすり合わせ部分にあるのが関節軟骨で、骨と骨とが直接ぶつからないようにしています。

関節をすっぽり包んでいるのが関節包で滑液という潤滑油を分泌する滑膜と繊維膜という2枚の膜でできています。

関節はその他に靭帯や筋肉、神経、血管などで構成されています。

 

関節の痛みですが、関節軟骨には神経が通っていないので直接には痛みません。

しかし、関節の周囲にはたくさんの神経が通っており少しの異常があっても敏感に痛みとして感じるのです。

関節が痛む場合、次のようなケースがあります

・関節軟骨がすり減ったり消失し、骨と骨がこすれ合う。


・軟骨のすぐ下にある骨で異常が起こる。


・関節包が引っ張られる。


・滑膜が炎症を起こして腫れる。


・靭帯が引き伸ばされて切れる。


これらがいくつも重なって痛みを起こす場合が多くあります。

膝の痛み・関節痛が起こる病気は?

関節軟骨がする減る病気や細菌の感染など

関節はひじ・ひざ・手首・足首・指・肩・あご・腰(股関節)などにあり、各部位によってさまざまな病気が起こりますが、とくに気をつけたい病気をあげましょう。


変形性膝関節症(中年以降の膝の痛みで最も多い)

関節の軟骨がすり減ったために痛みを生じる病気。膝の痛みで最も多いのが変形性膝関節症

 老化によってクッションの役目をする軟骨がもろくなって減り、さらに筋肉の衰えによって軟骨に負担が増し痛みが強くなる。

慢性関節リウマチ

全身の免疫異常により滑膜に炎症が起こり、そこから出る科学物質によって関節軟骨が破壊される病気。
 特に女性に多い。

 まず手や指など比較的小さな関節に起こることが多く、進行すると全身の関節が破壊されて機能障害が起こる。

変形性脊椎(せきつい)症

背骨の老化によって起こる病気で腰がもっとも多い。

 変形性脊椎症は、まず腰の重圧間を感じ中腰を長く続けたり長時間あぐらをかくと痛みが生じてくる。進行すると腰を曲げられなくなる。

化膿性関節炎

関節に細菌(ブドウ球菌・連鎖球菌・肺炎球菌など)が入り込んで化膿し炎症を起こす病気。

 血液やケガの傷口から感染する。症状は関節が赤く腫れて熱をもち痛みも徐々に強くなる。放っておくと関節が破壊される。

肩関節周囲炎

一般的な呼び名は「五十肩」で肩の関節やまわりの組織に炎症がおこる。


 肩を長年酷使してきたため起きる腱の老化などにより、肩関節の機能バランスがくずれ痛みが生じる病気。
 腕を上げたり背中に手を回すなどの動作で痛みを感じる。

痛風

血液中の尿酸が通常より高い数値になり、尿酸の結晶が関節に溜まり炎症を起こす病気。


 肥満、アルコールの摂取過多によって発症することが多い。
 まず親指の付け根が赤く腫れあがり、強い関節痛がおこることが多い


お年寄りや肥満の人に、膝の痛み・関節痛が多いのはなぜ?

軟骨が弱くなったり負担が重くかかるため

お年寄りや肥満の人に関節、とくに膝の痛みを訴える人が多いのは確かです。


膝の関節痛の誘因となるものをあげてみましょう。

老化

年をとって筋肉が衰えると膝の一部に負担がかかるとともに軟骨も老化するため。

 70~75歳の人のレントゲンを撮ると5割以上の人に膝の障害がみられる。

肥満

歩く時は体重の3~5倍の重さが膝にかかる。

10キロオーバーの人は50キロもの余分な負担が膝にかかっていることになる。

O脚

足がまっすぐな人は体重を膝全体で支えるが、O脚の人の場合、膝が体の中心から外にずれていて、重心が膝の内側に集中するため。

姿勢の悪さと膝の痛み

重心が膝と足の裏の中心にかかるのが正しい姿勢。


姿勢が悪いと膝に部分的にストレスがかかり、ゆがみやずれが生じる。
その結果、股関節や背骨がゆがんで全身に悪影響を及ぼす。

成長期に過度のスポーツ

重心が膝と足の裏の中心にかかるのが正しい姿勢。


姿勢が悪いと膝に部分的にストレスがかかり、ゆがみやずれが生じる。
その結果、股関節や背骨がゆがんで全身に悪影響を及ぼす。

膝の痛み・関節痛に効く薬は?

消炎鎮痛剤の内服薬や湿布薬、塗り薬が有効

 

関節の痛みや腫れをやわらげる市販薬としては、消炎鎮痛剤があげられます。

消炎鎮痛剤には次のような種類があります。


・内服薬----痛みや炎症に有効。

・湿布薬----冷やしたり温めることが目標ではなく、皮膚を経由して薬を患部に送り込む。

・塗り薬-----クリーム剤、軟膏、液剤。 成分は湿布薬とほぼ同じ。

・坐薬-------強い痛みに有効。


内服薬は副作用がなければ、痛みをしのぐには良いのですが、1週間たっても同じ症状が続いたり症状が悪化する場合などは医師に相談してください。

ひじや膝など湿布薬が貼りにくい部位には塗り薬を使用し、その上をサポーターで 保護するとよいでしょう。


「膝に水がたまる」とどうなる?

 ランニングやサッカー、登山などのスポーツを楽しんでいると時おり感じる膝への違和感や痛み。これはもしや慢性化したりして。そういえばおばあちゃんや おじいちゃんが「膝に水がたまった」だの、「膝の水を抜いた」だの話していた気がしますが、そもそも「膝の水」って何なんでしょう? 膝を中心としたスポーツ障害に詳しい、稲毛整形外科の南出正順院長にうかがいました。

「膝の水というのは正式には『関節液』といいます。関節の作りとして、太ももの骨と、すねの骨、さらに膝のお皿の部分の骨の、3つの骨があわさってい るのが膝なんですが、この関節全体が袋の中に入っています。これを『関節包(ほう)』と呼びますが、この中に潤滑液としてもともと2~3ccくらいの 水=関節液が入っているんです。それが例えば20cc、30ccに増えたのが『膝に水がたまる』という状態なんです」

ほえー、リアルに水がたまってるんですね。先生いわくその水の成分は、水分がほとんどで、潤滑作用のあるヒアルロン酸や軟骨の栄養分となるたんぱく質を含んでいるそうです。色は黄色っぽいオリーブオイル状だとか。

でもこれ、どういう原因でたまるんですか? お年寄りだけ?

「膝には軟骨のほかに、他の関節にはない半月板というクッション材があるんですが、その半月板の損傷だとか、軟骨がすり減った変形性関節症などで膝に ストレスがかかることで、潤滑液を出す滑膜が炎症を起こして、水をたくさん出すようになるんです。なのでお年寄りだけではなく若い人でもスポーツ障害や歩 き方の癖、特に若い女性なら関節リウマチにより水がたまることがあります。水がたまると関節包が膨らみますので膝が重苦しく曲げにくくなったりします が、それは膝のさらなる損傷を防ぐための機能でもあるんです」

ちなみに、膝にたまった水は採血と一緒で膝の上の方から注射器を入れて抜くことができるそう。俗説にある「水を抜くと癖になる」というのは迷信で、ただ単に原因である滑膜炎が治っていないからだとか。

こうした膝に水がたまるのを予防する方法ってあるんでしょうか?

「そうですね。スポーツをする人は痛いのをずっと我慢しないことですね。あと肥満の人や、筋力が足りない人、あるいはよく正座をする人も、膝の軟骨に負担がかかって滑膜炎を起こしやすくなりますので、それらを解消するようにした方が良いでしょう」

自分に脚力があるかどうかは、片足屈伸をした場合、ちゃんと前にまっすぐ出ているかどうかでも確かめられるとか。ちなみによく膝痛に陥る筆者は、脚力の なさをごまかすために右膝が内側に入っておりましたよ。膝に不安をかかえている人はとりあえず減量と筋トレが必要かもですね。

 

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